10月14日に放映されたNHK杯の後半の映像がニコニコ動画にアップされ、既にその動画の再生回数が10万回を超えるに至っている。ユーザーが書いたコメントが映像上を流れていく方式が、映像将棋コンテンツとの相性がよいみたいである。
そのニコニコ動画だが、海外展開を考えているらしい。同サービスを提供する株式会社ニワンゴの10月10日付のプレスリリースとその記者会見をもとにしたネット上のニュースを拾ってみた。
ニワンゴのプレスリリース(PDF file)
ニコニコ動画新バージョンを公開・パートナー企業や海外展開も発表(IT-Plus)
ニコニコ動画の映像はアニメ関係が多く、海外に住む日本のアニメファンからのアクセスも増えていることから、今後海外展開も目指す。第一弾として台湾のユーザー向けに、繁体字によるメニュー表示や専用のコメントページを今月中旬に設置する。今後英語メニューの展開なども検討するという。
ニコニコ動画が大幅な機能強化,10月18日から台湾版も開始(IT Pro)
台湾版は説明文やカテゴリのタグを中国語の繁体字で記述。台湾からのコメントは日本からのコメントとは別のスレッドに表示する。台湾だけではなく,香港などの繁体字圏からの利用も進むと思われる。
ニコニコ動画が「RC2」にバージョンアップ、投稿者専用機能など追加(Internet Watch)
第1弾として、台湾版を10月18日に開始する予定。台湾からのコメントは、日本からのコメントと別のスレッドに表示される。なお、世界進出を台湾から始める理由について西村氏は、「日本からのアクセスだけでも手一杯な状況で、英語に対応するのは厳しいから」と説明した。
ニコニコ動画が海外展開を考えているならば、日本で人気が証明されている将棋のコンテンツや、入門のコンテンツを載せるだけで、海外の人が、それぞれの自身の言語で、勝手にその将棋の魅力をコメントするようになることも可能性としては考えられる。
ニコニコ動画での週末からの出来事は思考を刺激してくれる。三軒茶屋別館10月16日付けプチ書評「羽生―「最善手」を見つけ出す思考法」でアイヨシ氏が
私は、将棋とは素晴らしく面白いゲームだと思ってます。しかし、残念ながらその競技者は日本国内にほぼ限定されてまして、世界的な広がりには乏しいと言わざるを得ません。そうした国際的な広がりを持たない現状にあって、それでもなお将棋というものを開いていくためにはどうしたらよいか。その答えの一つが本書にはあります。すなわち、定跡書のような技術論でも、あるいは将棋を人生に例える人生論でもなく、”筋”や”大局観”といった将棋言語を一般の言語に近づけることで将棋を開いていくという方法です。こうすることで、プロの将棋の見方というものを一般の人に少しでも理解してもらい、興味を抱いてもらえることに繋がっていくが期待できるでしょう。また、昨今『ボナンザ』というコンピュータ将棋ソフトの活躍が話題を呼びましたが、『ボナンザ』の開発者である保木邦仁は将棋に関してほぼ素人であることを告白しています。こうした事柄を説明するためにも「プロの思考の言語化」((c)片上大輔五段)はますます必要とされることでしょう。
と述べられている。同書は筆者も昔に読んだし、時々読み返すが、上記の見解に概ね賛成である。そこで、一歩踏み込んで、ニコニコ動画を使って、「プロの思考の言語化」とまではいかないかもしれないが、「プロに近い人の思考の言語化」は、次のような方法を取ることで効率的、集中的に可能になるのでは、と考えてみた。たとえば、将棋倶楽部24とニコニコ動画が登録情報のやりとりをして、今回のような将棋コンテンツがアップされたときに、プログラム的に将棋倶楽部24で一定のレーティングを持っていないとコメントが加えられないようなスレッドができれば、ノイズも多い娯楽性満点のコンテンツだけではなく、かなり質的にその将棋に迫ったコメントが満載の映像コンテンツを作っていくことができるのではないだろうか。コメントをつける将棋倶楽部24の高レーティングの方には、コメント数等によって金銭的なインセンティブを考えてもいいだろう(原資は、普及協力金とかいうものが5年間にわたってあるのでは無かったっけ?)。台湾からのコメントを別スレッドで表示させられるのならば、このような区分けで別スレッドを立てることも可能であろう。
そうして出来上がった質の高い将棋コンテンツを翻訳していくことで海外への普及を最適化できないだろうか。などということを夢想している。筆者の将棋の実力ではプロの思考の言語化はアイヨシ氏同様かなわない。かわりといってはなんだが、プロに近い人の思考の言語化の方法について言語化を試みてみた。
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