週刊将棋の11月15日号に「棋士のブログ大特集」という見開き2面の大特集が載った。
週刊将棋の使命は、将棋界の今を伝えることだと思っているので、今現在ブログを開設している棋士のブログを網羅的に紹介するのが中心になるのはわかる。それは当然のことである。
ただ、本文の囲みの「ブログとは?」にもあるように、ブログとは「日記形式」のものである。というか、日記文学そのものである。日記文学は歴史的な史料ともなりうるものであり、棋士のブログは本人が意識している、していないにかかわらず、将棋界の歴史を綴っていることになる。日記文学は過去の文章をさかのぼって読めるところにその醍醐味があり、それはブログも同じだと筆者は思っている。そういう史料的な部分があることについても触れてほしかったと思う。
ところで、ブログはおろか、インターネットという言葉もなかった時代に、棋士の日記が公刊されていたことをどのくらいの方が知っているであろうか。その日記とは、山田道美将棋著作集の第七巻「日記」(リンク先はAmazon.co.jp)である。棋士のブロガーの方なら、大山・升田という当時の巨大な壁を崩すため、序盤の研究に心血を注ぎ、36歳で夭折した若手の棋士が、どういう悩みを持ち、何を考えていたのかを綴った日記は、時を越えて、大いなる関心と共感を持って読めるのではないかと思う。筆者は何年か前に図書館で読んだが、感動した覚えがある。
と、ここまで書いてきたところで、ある方の2005年7月10日のブログエントリーを掘り起こしてみたい。リンク先を読んでいただければ、筆者が「過去の文章をさかのぼって読めるところにその醍醐味がある」と考える理由は納得していただけるのではないかと思う。ブログを読む楽しみは、新着エントリーを消費することだけではない。
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