さまざまな方の支えがあって、このところアクセスが増えている(ありがとうございます)。先日のエントリーで「Naruto 効果」「Clubhouse Games 効果」という造語を唐突に使ってしまって少し反省している。前から当欄を読まれている方ならよくお分かりと思うが、最近読み始めた方にとってはわかりにくかったと思う。本エントリーでは、筆者が 「Naruto 効果」と呼んでいる現象についておさらいするとともに、最近得た情報も紹介したい。
海外で、将棋が認知されたり、指されたりするようになるのに、将棋が取り上げられているアニメやマンガが現地で放映されたり、出版されたりすることが大きな役割を果たしていると筆者は感じている。囲碁では、「ヒカルの碁」が内外で囲碁普及、とくに、囲碁に入門するきっかけとなるのに効果があった(そして、今でも続いている)。将棋の場合は、「ヒカルの碁」ほどの効果はないものの、その役割を果たしているのは、「月下の棋士」でもなく、「しおんの王」でもなく、実は「Naruto」である。「Naruto」は、岸本斉史氏によって週刊少年ジャンプに1999年に発表されて人気を博し、TVアニメ、アニメ映画にもなり、日本だけでなく、多くの国で楽しまれている少年忍者の成長物語を基調とした作品である。簡単には覚えきれないほどの大勢の忍者のキャラクターが登場するが、その中の1人に、奈良シカマルという、非常にIQが高いのだが、生来の面倒くさがりやであり、そうなんだけれども結構モテる、という人物造形がなされたキャラクターが重要な脇役として登場する。そして彼の趣味が将棋なのである。
シカマルが将棋を指しているシーンは、「Naruto」の中ではごくわずかである。ただ、「Naruto」のファンの中には、少なからずシカマルのキャラクターに心酔しているらしい人がたくさんいて、シカマルの好きな shogi というゲームに興味を持ってしまう人がどうやら多いらしい。
と言葉で説明してもなかなか実感が沸かないと思う。百聞は一見にしかず、5/29に書いた当欄の次のエントリーを見ていただきたい。
シカマルとアスマのコスプレで将棋を指す海外のひとたち --- シカマルに扮したファンが将棋を指している写真へのリンクである。
アニメ・マンガファンは、上記のリンクで紹介した写真に見られるような形で、シカマルが好きな将棋というゲームを楽しんでいるケースがある。もちろん、コスプレに至らなくても、将棋というゲームそのものに興味を持つ人はもっといるはずである。筆者はネット対局中に 「Naruto」を見て将棋をやってみたくなったというポルトガル人と実際にチャットしたことがあるし、「Naruto」を通じて将棋を知ったモロッコ(フランスの植民地だったことがあり、フランス語が通じる)の高校生が、興味が高じてフランスの将棋フォーラムに参加した事例は当欄でも紹介した(「Narutoで将棋を知ったモロッコの高校生」 6/7付け)。
続いて、最近発見した「Naruto効果」の重要な例を1つ。是非とも次のリンク先を開いていただきたい。
Analysis of Shougi board (with visual explanations) - Naruto Forums
上記のページに行かれたら、Spoilerという文字の隣にある Show と書いてあるボタンを上から三つそれぞれ押してみてほしい。最初のボタンで、駒の動きの説明の図解が表示され、二つ目のボタンでは盤面に、駒、キャラクターの顔、駒の英文表示がかわるがわる表示される図が現れ、三つめのボタンを押すと、駒の動きの複数のシナリオが盤面上で展開される(盤面が変わるまで10秒程度かかるかもしれないので、辛抱強く図面をみていただきたい)。
このエントリーを起こした、ユーザ名Mizura さんは、一つ目の Show ボタンの直前に、英語 Wikipedia の shogi の項目にもリンクを張っている。なので、上記で紹介した盤面だけでなく、「Naruto」 のファンでこのページを訪れた方は、Wikipedia の shogi の説明を読むことになる。
われわれのまったくあずかり知らないとことで「Naruto」が将棋を広めてくれている。Shogi という単語の含まれる「Naruto」 絡みのコンテンツがこのところ毎日のようにネットに載せられ、累積されていっているのを筆者は確認している。それを読んだファンが、shogi に興味を持って調べ始める。これが筆者が「Naruto 効果」と呼んでいる現象の正体である。
私は週刊少年ジャンプ愛読者ですがNARUTOは読んでなくて、まさかNARUTOと将棋がそういう関係にあるとは思いませんでした。
海外でそういった反応があるのであれば、NARUTOのキャラクターが書かれた簡易将棋盤のようなものを製作&販売すればNARUTOファンへのアプローチが可能ですよね...。
駒もNARUTOキャラクターが描かれたりしていれば、なお楽しそうです。
「ヒカルの碁」の時は、日本棋院がヒカルの碁のキャラクターが描かれた9路盤を製作しています。(現在も販売中)
http://www.rakuten.co.jp/nihonkiin/473325/
投稿情報: くにー | 2006年11 月15日 (水) 21:57
くにーさん こんにちは
ええ、仰るとおり、いろいろな可能性があると思います。何か、具体化できるといいなと思っています。
投稿情報: takodori | 2006年11 月16日 (木) 11:51
スペインでも2週間前から、テレビで満を持して「NARUTO」の放映が始まりました。前宣伝も出ていたので、結構人気を呼ぶのではないかと思います。
まだ、SIKAMARUは出てきません。アニメで将棋を指すシーンがいずれ出てくるでしょうか。
投稿情報: 蒼龍 | 2006年11 月28日 (火) 00:49
蒼竜さん、貴重な「今」の情報をありがとうございます。スペインでもテレビでオンエアされ始めましたか。私もDVDで確認する間がなかなか取れません。ファンのコミュニテイに聞いてしまうのが早いかな、とも思っています。
投稿情報: takodori | 2006年11 月28日 (火) 12:24