梅田望夫氏の My Life Between Silicon Valley and Japan の 9/28 のエントリー「UCバークレイの授業が無料で Google Video に!!!」を読んでの雑感。
要点は、大学・大学院の教育は今後どんどん動画の形で地理的な距離に関係なくオーープンアクセスされるようになってくるとのこと。
日本の大学・大学院の講義もオープンアクセス化の方向に行かないと、世界各地、特に、為替があまり強くない国の日本語ができる学生の教育環境が英語のできる学生に比べて著しく劣ることになりかねない。逆に、日本について学びたい世界各地の学生に日本の大学の講義内容がネットでアクセスできるようになれば、彼らの意欲を高めることに繋がるであろう。
大東文化大学の「本間教授が藤森女流棋士会会長に快勝」によれば、2001年から同大学の経済学部では囲碁と将棋の講義が行われている。囲碁の講座は、中国や韓国でも可能性はある(もう既に存在するかもしれない)が、将棋の講座を大学で設けられるのは今のところ日本に限られると思われる。日本でしかやってない講座であれば、米国の大学の講座と内容で競合することは絶対にないのだから、オープンアクセス化に向いているのではないかとも考えられる。
いずれにしろ、注目すべき点は、UCバークレイという権威ある大学が、自己のウェブサイトではなく、Google Video という誰でも動画を投稿できるサードパーティのサイト、すなわち、もしかしたら非合法かもしれないコンテンツが混在するような場所で講座を提供し始めたことである。自前主義にとらわれない、非常に思い切ったやり方だと思う。仮に、日本の大学がオープンアクセスできる講座を企画したと想像してみよう。その際、Google Video とか Youtube とかが公開の手段として考慮されるとは考えにくい。自前のサイトで公開するのが当然と考えられるのではないかと思う。
やや飛躍するが、良質のコンテンツを持っている権威は何も大学に限らない。放送局だってそうである。NHKや囲碁将棋チャンネルが、将棋の教育コンテンツに字幕・吹替えを施して、Google Video や Youtube に投稿をすることは、技術的には大したコストもかからずに今すぐにでも可能なことだと思われる。先日当欄で取り上げたNHK改革の資料やらニュースやらをあれこれ読んでいると、国際放送を充実させるには、設備投資も資本もかなり要るような議論になっているようだが、UCバークレイのような思い切りを日本の放送局に期待するのはやはり無理なのだろうか。
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