最近になって知ったのだが、昨年の11月に、アメリカミシガン州のデトロイトで、人間将棋のイベントが行われていた。
それについて触れる前に、天童で毎年四月に行われている人間将棋について簡単におさらいをしておきたい。天童市の観光ガイドの2006年の人間将棋会場レポート5、会場レポート6などでわかるとおり、地元の高校生や、公募に応募した一般市民、ゲストのプロ棋士が甲冑姿で登場し、40名の駒武者がそれぞれ自分の演ずる駒をあしらった旗を持って行われる。甲冑姿に扮すると聞くと、伝統文化行事のようにも思えるが、見方を変えれていえば、コスプレである。普段の自分と違うキャラクターを身に着けるものの力を借りることによって演じるという部分に両者の違いはない。
デトロイトの人間将棋は、YOUMACON2005 という、ヒルトンホテルを会場とした、アニメコンファレンスの目玉のイベントとして行われた。そのイベント名は、COSPLAY SHOUGI で、コスプレをする来場者から事前に40名の参加者を募り(将棋の知識は問わない)、めいめいの思い入れのあるキャラクターに扮した参加者が、駒のプラカードを持って床に書かれた盤上で待機し、その場で選ばれた二人のプレーヤーの指図によって動くという形で行われた。
百聞は一見にしかず。YOUMACON2005のPHOTO REPORT(写真が12枚)をみれば、どんな様子かは歴然。デトロイトというと、筆者が真っ先に思い浮かべるのは日米自動車摩擦時にテレビニュースで見た、自動車産業従業員の殺気立った顔だったりするのだが、これは認識を改めねばなるまい。
この将棋萌えーなイベントは参加者のみならず会場で座って見ていた観客にも非常に好評だったらしく、今年の YAUMACON 2006 でも再び行われる予定になっている。実現すれば、昨年と今年とで、延べ80人のコスプレーヤーが、デトロイトで将棋を体験することになる。
まだ、天童市がこの事実をつかんでいるかどうか知らないし、YAUMACON で毎年コスプレ人間将棋が行われようになるかどうかもわからない。だが、この面白い試みがきっかけで天童市があらたな姉妹都市関係をデトロイトと将来結ぶようなことになれば、普通の将棋関係者では想像も付かない、なかなか愉快な展開ではないだろうか。
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