昨日、第24期朝日オープンの第4局が行われた。その内容を要約してみる。「対局者の手が震えていた」など、その場に居合わせなければわからない情報は排し、純粋に棋譜だけをなぞって得られる情報でまとめてみた。
先手 藤井九段の四間飛車に対し、後手の羽生選手権者はは右6四銀から急戦。振り飛車党なら誰もが良しと思う岐れからの端攻めが鋭い勝負手で居飛車持ちの終盤戦に。藤井九段も受けの勝負手を繰り出して手を稼ぎ、最後は羽生玉が詰むや詰まざるやの局面を作ったが、わずかに足りなかった。互いに大駒を惜し気もなく切ったり捨てたりが続出し、両者の左右の桂香がひとつも元の位置に残らないほど桂香の使用率が高い(すなわち飛び駒の使用頻度が高く、用途もいろいろ)、また、急戦ながら動きも取られもしなかった駒が6枚の歩と1枚の銀だけという、双方全軍躍動の、互いの玉に複数回王手がかかった、素人目に見ていて楽しい将棋だった。羽生選手権者はこの勝利で3-1で朝日オープン3連覇。
また、内容を、筆者なりに要素分解すると以下のようになった。第4局の指し手再生を表示して初手から終局までさらいながら見てもらえれば、一般的とはいえない用語やこなれない表現もも含まれてはいるが、まあ、納得していただけるのでないかと思う。
先手四間飛車、後手居飛車対抗 急戦 右6四銀 5七歩‐4六歩型美濃囲い
6五チョン 角交換 捌き 馬作りを狙った飛車取りの角の打ち込み
飛車香両取りの角の打ち込み 飛頭単打の歩 突き捨ての歩 馬飛車交換
敵陣へ飛車の打ち込み 香を取りながらの角成り 桂を取りながらの飛成り
端攻め 突き捨ての歩 端攻めの垂れ歩、香頭単打の歩 持ち駒の補充 紐歩
美濃崩しの2四桂打ち 自陣角 終盤戦の前進の歩 香頭連打の歩 馬飛車交換
再度の美濃崩しの2四桂打ち 角切り 成り捨ての歩 底香 銀取りを手抜き
角切り フンドシの桂 飛車殺しの一段目への金打ち 飛車取りを手抜き
不成の桂 一見タダ捨てだが取れない角打ち 必至 詰むや詰まざるや 角捨て
飛車切り 一間竜 面打ちの歩
このような内容要約と要素分解がすべての棋譜についてユーザー参加型で行われてネット上に公開されたデータベースが作られ、普段、検索エンジンでするように縦横無尽な切り口で棋譜を検索できるようになっていたらどうであろうか。将棋ファンが見たい棋譜、使いたい棋譜というのは人それぞれ様々だと思うが、そのようなデータベースが整備されることで、自分が鑑賞、参照したい棋譜に簡単にたどり着けるようになることをありがたく思う方は多いのではなかろうか。
もし、日本のファンがそう思うのであれば、海外のファンも同じはずである。テクニカルタームの外国語訳をどうするかなどの問題は別途発生してくるだろうが、それは日本でできるようになってからのこと。現状、将棋ファンが自分の見たい棋譜に到達できる仕組みは、このインターネットやコンピューターによる検索万能の時代にあって、あまりにも貧弱だなあと、棋戦名、対局者、対局日、おおざっぱな戦型、局面指定くらいしか検索の切り口がない将棋NENKAN1.0を使いながら思うのである。
コメント