梅棹忠夫氏の「知的生産の技術」(岩波新書、1969年7月21日第一刷)のまえがきより引用する。
わたしは、わかいときから友だち運にめぐまれていたと、自分ではおもっている。学生時代から、たくさんのすぐれた友人たちにかこまれて、先生よりもむしろ、それらの友人たちから、さまざまな知恵を、どっさりまなびとった。研究生活にはいってからも、勉強のしかた、研究のすすめかた、などについて、友人からおしえられたことがたいへんおおい。それぞれ専門はちがっていても、方法の点では共通の問題がおおかったのである。それも、ひらきなおって科学方法論と称するほどのことではなく、研究のすすめかたの、ちょっとしたコツみたいなものが、かえってほんとうの役にたったのである。そういうことは、本にはかいていないものだ。
友人たちのあいだに、べつに組織だった情報交換網があるわけではないが、ひとりが、なにかあたらしい技術を案出すると、それがほかの仲間にもすぐつたわるようなしくみが、いつのまにかできあがって、いまにつづいている。だんだんとあたらしい技法も開発されて、つけくわわり、また、ふるい技術は経験によって改良をうける。いまではこれらの友人のあいだでの共有財産は、質的にも量的にも、かなりのものになっている。
最初に「勝手に将棋トピックス」に出会ったときは既にそんなにわかくなかったし、直接お目にかかったことがあるわけでもなく、もずさんが自分のことを友だちと思ってくれるかどうかも定かではないのだが、筆者はいま、自分は「友だち運にめぐまれていた」のだ、と一方的に思っている。 確実にいえることは、「勝手に将棋トピックス」を読んでいなければ、今こうして自分がブログを書いていることは決してなかったということ。徒手空拳の一個人がブログで情報を発信していくことの社会的な可能性を身を持って見せ続けてくれたのはもずさんだった。はてなアンテナ、RSSリーダー、ソーシャルブックマークなどの新しく利用可能になった情報収集、記録のしかたなども、もずさんの手法を参考にさせていただいた、というか、そのまんま使わせていただいたことがほんとうに多い。
当ブログの記事も今まで数多く取り上げていただき、感謝の気持ちはとても言い尽くせない。ありがとう、もずさん。そして、いつの日にかまた将棋に関して書くことがもしあれば、いの一番は無理でも、もずさんが示してくれた情報収集の方法で必ずや見つけ出してありがたく拝読するであろうことを勝手に約束します。
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