最近、「さきがけものがたり」(JSTさきがけ担当編、アドスリー発行)という本を手にした。
さきがけというのは、1991年に新技術事業団のなかで作られた研究制度で、現在は独立行政法人科学技術新興機構が継承している制度のこと。若手の意欲的な研究に光をあてる成果をあげているらしく、また、この制度を米国やスウェーデンも参考にして似た制度を作ったというすぐれもののようである。
その本によると、飯田弘之教授は、2001年から2004年まで、さきがけの「光と制御」研究者であったという。
飯田教授の研究成果に、ゲームの洗練度指標の導入がある。ゲームの自由度(可能な手の数)をB、試合時間(終了手数)をDとしたとき
ゲームの洗練度 = √B/D
という数理モデルで表すことができるということだ。そして、チェス、シャンチー、将棋、囲碁、マージャンなど長い歴史の淘汰に耐えてきたゲームをこの数式に当てはめると、指標の値がすべて 0.07~0.08 の間に収まっている、という。
これは、将棋にとってはいいニュースなのではないだろうか。なぜなら、チェスや囲碁は既に世界中に広まっているが、ゲーム洗練度の面で将棋が遜色がないとすれば、将棋も世界中に広まっていく要素を持っていると考えることが可能ではないかと思うからである。
上記で紹介した本のほか、さきがけでの飯田教授の研究成果は以下で読むことができる。
「機能と構成」研究領域 領域活動・評価報告書 (52ページのpdf file, 6~11ページが該当部分)
上記で示されている三名人モデルは興味深い考え方だと思った。
サイエンスチャンネルには、飯田助教授(当時)出演の番組がアーカイブされている。同ページを開き、画面左側の番組検索欄に 飯田 と入れて検索すると、Realplayer で再生できる動画を選べるようになるので、興味のある方はご覧になってはと思う。
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