毎週水曜日に署名記事欄を持っていると思われる日刊スポーツの赤塚辰浩記者が、同紙の7月5日付けで、5月28日から31日まで行われた世界アマ囲碁選手権で日本の平岡聡さんが優勝した記事を書いている。日本勢が6年ぶりに優勝したので取り上げたものと思われる。
その記事のなかで目に留まったところを引用する。
平岡はトップを維持するためここ10年、中国や韓国のプロの棋譜をインターネットで取り寄せている。読みの力を鍛えるためだ。社会人になって囲碁の勉強時間は減る一方となりネット対局で週2~3局打つ程度。その分、暇を見つけて棋譜を徹底的に読む。「これが囲碁の基礎体力だと思う。そこから構想力に繋がる。きっちりやっていれば年齢を経ても簡単に衰えない」と言い切る。
アマの大会であっても、世界大会を勝ち抜くには、海外のプロの棋譜をインターネットで参照する必要があったということを指摘した貴重な部分だと思う。
筆者は囲碁のほうにはあまり明るくないが、近年、日本と中韓のプロ同士の対戦成績は日本にとってあまり芳しいものではないように聞いている。囲碁にしても、将棋と同様、ゲームの性質上戦闘的な要素が多分にあるので、自分が強くなることを求める競技者が、最強と目される人々の棋譜を手本にするのは当然のことだろう。たとえ、それが自分の国に無い場合でも、それなりに簡単な方法で入手可能であれば、皆同じようなことをするのは納得できる。
囲碁で世界最高水準と目される人々の棋譜を日本人がインターネットで取り寄せようと思い立ったときに、どの程度の障害があるのか(中国語やハングルを読めないと無理なのか、日本語だけしか知らなくても取り寄せられるのか、有料なのか、無料なのか、どの程度新しい棋譜が入手可能なのか、など)を時間ができたら調べてみたい。
将棋の場合、世界最高水準と目される人々の棋譜は現在、日本のプロによって作り上げられている。それがどのように世界へ流通されるべきかは、いろいろな考え方があるだろうが、現に行われている世界最高水準の囲碁の棋譜の流通の仕方がひとつの模範となって試行錯誤が繰り返され、収斂していくものと思う。
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