梅田氏の「ウェブ進化論」が売れているらしい。同氏は、日本将棋連盟で講演を行ったそうで、遠山雄亮のファニースペースのコメント欄から窺えるかぎりでは、日本将棋連盟向けの戦略論が展開されたらしい。
特定組織向けの戦略論は非公開とのことだが、その内容を想像しつつ、本を読んで今後の将棋の海外普及についてつらつら考えたことを書いておきたい。
人間対コンピュータの対決について。Bonanza はありうる手をしらみつぶしに読んでいる方式らしく、そうではなかった他の商業ソフトもハードの速度が速くなってきたので、しらみつぶし方式を取り入れる機運になっているらしい。将棋の手をコンテントと見た場合、ある局面の最善手を求める作業は、世の中に存在するすべての禁じ手以外の将棋の手というコンテンツから、もっともふさわしいものをできるだけ短い時間で検索するという作業にかなり似ているのではないかと思う。だとすれば、スポンサーとして追求すべき企業は Google ということになるのではないだろうか。30万台のコンピュータを並列に繋いでぶん回すプログラムがどの程度の強さになるものなのか、コンピュータ技術者ならずとも見てみたいのではないだろうか。
将棋の第一人者 vs コンピュータープログラム のプログラムは、オープンソースコミュニテイにも新たにプログラム開発を求めてはどうか。既存の将棋プログラム対オープンソースコミュニテイ、その勝者対人間という形で google スポンサーなら、Kasparov 対 Deep Blue 以上のイベントとして盛り上がると思うが、妄想が過ぎるだろうか。
もう少し現実的な話。Kurnik.org は、多言語対応が売りのサイトだが、ゲームサイトとしての思想的な新しさとしては、ポーランド以外のそれぞれのゲームのルールの説明は、Wikipedia など、「あちら側」に任せてしまっている点。こうすることにより、Kurnik.org は、新しいゲームをサイトに加えていくことに必要なコアの作業、すなわち、ゲームボードのユーザーインターフェース開発と、そのゲームをルールどおりにネット上で行えるようにするプログラム開発の2つに専念することができるようになる。また、スイス式のトーナメントがシステム的に行われるのも、徹底的な自動化を目指している Google を想起させる。Kurnik.org では、数十種類のゲームのトーナメントが毎週ほぼ全自動で告知され、組み合わせが作られ、結果が発表されている。チェスなどではトーナメントの参加者は100人を超えているがそれも自動で捌いている。将棋倶楽部24の様々な棋戦で Webmaster が告知、組み合わせ、結果の発表などほとんど手動で行っているのとは極めて対照的である。Google と Yahoo の対比が梅田本ではあったが、Kurnik と 将棋倶楽部24の関係もそれに似ているような気がする。
3/29 訂正、Web進化論 -> ウェブ進化論
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