ゲームクリエーターの鈴木裕氏が、1up.com というゲームに関するネットメディアでロングインタビューに応じている、その中の発言で次のような部分がある。
The problem is that the industry focuses too much on the extravagance of the graphics. Gorgeous graphics equal high quality, but it's expensive to make those games. So it's good that we are not being strapped down by hardware limitations, but games have rules. Shogi has its rules, Chess has chess rules, and soccer has soccer rules -- you play with a team of 11 members and you can't use your hands. And video games are games, as well. So there are rules. We should focus our creativity on making interesting rules in a game instead of focusing on the visuals.
かいつまんでいうと、ビデオゲーム産業はグラフィックスの豪華さに焦点を当てすぎてきた。ゲームにはルールがある。将棋には将棋のルールが、チェスにはチェスのルールが、サッカーにはサッカーのルールがあるように、クリエーターは面白いルールを作ることに創造性を発揮すべき、ということが述べられている。このインタビューは4ページにもわたる長いものなのだが、その中でインパクトが強かったのか、この部分が英語のみならず、ドイツ語やポーランド語でもカバーされている。
- Suzuki: Development focuses too much on visuals not creativity - News - play.tm
- GoNintendo - Yu Suzuki - devs need to focus on making games interesting, rather than making pretty graphics
- Yu Suzuki äußert sich über moderne Spielebranche - News @ PlayStation 3 - Universe
- Suzuki: Twórcy gier muszą skupić się na pomysłach, nie na grafice - gram.pl
これらすべての記事で「将棋には将棋のルールがあり」の部分が現地の言葉に訳されている。鈴木氏のインタビューは、ゲームのユーザーだけでなく、海外のゲームクリエーターやその予備軍にも読まれていることだろう。そういった人々の何人かはこのインタビューをきっかけとして、shogi ってどんなゲームだろうか、という疑問を持つかもしれない。
ちなみに鈴木氏は、最近日本語のメディアでも、「ゲームはルールである」という持論を述べているが、そこではサッカーは引き合いに出されていても、将棋は出ていなかった。
かねてから,私は「ゲームはルールである」と申し上げています。たとえば,サッカーなら「手を使ってはいけない」ルールの中で競うことでの楽しさがありますが,ルールが違えば,また別の楽しさがあります。
英語のインタビューのときに、どういうわけか、shogi が引き合いにだされ、それが、英語のみならず、ドイツ語、ポーランド語になって伝わったのである。瓢箪から駒とはこういうことであろうか。いずれにしろ、そのルールの面白さがチェスやサッカーと並立する対象として将棋が氏の口から海外メディアに対して発せられたのは、小さくないことだと筆者は考えるものである。
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