将棋を世界に広める会の機関誌「かけはし」アーカイブズに松岡信行氏による羽生名人へのインタビューの記事が加わった。松岡氏は、神奈川県小中学校将棋連盟の理事長でもあり、「将棋世界」誌3月号の253ページに「代表意識と連帯感を」という文章を寄稿されているのを覚えている方もいるのではないかと思う。インタビュー記事にリンクをし、羽生名人の言葉から一部を引用するが、ぜひリンク先の全文を読んでいただきたいと思う。
かけはしアーカイブズ: 特別企画 羽生名人独占インタビュー「新たな発火点を目指して」(45号、2008年11月22日発行)
羽生 そうですね。上海には許建東さんがおられ、北京には李民生さんがおられるなど、既に大きな基盤がありますし、いい意味での中国 国内での競い合いもあります。互いに切磋琢磨して行く事は素晴らしいことです。また、豊田通商さんですとか、進出している日本企業の皆さんが協力してくれ ていることは、これからの将棋の普及のモデルとしての可能性も高いと思います。
羽生 世界には、日本の文化とか日本人というものに対して、侍とか芸者とかに代表される、焼きついているイメージと言うものがあるんです。 実像を知ってもらうという意味では、将棋はいいのではないかと思います。また、ことにアジアにおいては、国々にそれぞれの将棋があるわけです。ですから、 日本からアジアという一方通行の交流というわけではなく、お互いに共通する文化を持っていることを知ることによって、民族の誇りとか互いの理解ということ が生まれるのではないでしょうか。
羽生 先ずは国内をもっと充実させようというところだと思います。まだ、県の連合会が、全ての県で組織されているわけではないのです。足元をしっかり固めたいということでしょう。
ですが、日本の国内に比べて、海外の方が圧倒的に人口が多いわけですから、世界の将棋人口がある一定数に達したり、普及の範囲や段階がある一点に達した ときに、世界における将棋のあり方だとか、普及の方法だとか、将棋連盟の構成だとかが、大きく変わるのではないかと思います。羽生 個人で思っていることは、将棋が世界的に広まっていく、将棋を楽しむ人が増えていくことは非常に大事なことだと思うのです。是非そう なって行って欲しいと思っているのですけれども、一番大切なことは、ISPSをはじめとして、普及に携わる人々が、普及していくことが楽しいとか、やりが いがあるとか、もっと時間を費やしたいだとか、そういう気持ちで、取り組んでいって欲しいと思うのです。このことが一番大事な事なのです。その活動によっ て、あまり急速に将棋人口が増えなくてもいいのです。10年20年と永く続けていって頂けることが大事なのであって、続けるには、やりがいとか楽しさは必 要不可欠なことでしょう。そのところに将棋連盟が一番サポートできるところではないかと思うのです。
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