「日本最大級のオフィシャルまんがポータルサイト」が売り文句の「まんてん」に、『ハチワンダイバー』の作者の柴田ヨクサル氏のインタビューが連載された。インタビュー自体は、フジテレビのドラマの第5回が放映された後くらいの時期に行なわれたようである。長いインタビューだが、将棋が良くわかっている人と、そうでない人の両方を相手にしてマンガを描く苦労がしのばれて面白い。一部を抜粋するが、是非、リンク先の本文にあたってほしいと思う。
ただ1つだけ、将棋の“手つき”についてはこだわってもらうよう、お願いしています。
――「将棋」のリアルさを大事にしてほしいということですか?
柴田:そうですね。将棋好きはそこを見ますから。たとえば駒をつまむ手つきがたどたどしいだけで、テンションが下がっちゃうんですよ。
まず考えたのは読みやすさですね。雑誌をパッと開いたとき、文字が多すぎると読む気がなくなるじゃないですか? なので、字をどんどん少なくしていこうと か、いろいろ考えました。今、ヤングジャンプで連載している『ハチワンダイバー』は、その蓄積の結晶ですね。今、僕が持っている技術を全部盛り込んでいま す。「将棋」という、多くの読者にとって意味不明なものを、セリフの勢いと読みやすさで押し切ってしまおう、というふうに描いているんですよ。
――でも、やっぱり「将棋の面白さ」も伝えたい気持ちが強いんですよね?
柴田:そうですね。ただ、その気持ちが強くなりすぎて、どうにもやり過ぎてしまうんですよね。担当さんがブレーキをかけてくれるので、なんとかなっていますが……。
担当さんが将棋をあまり知らない方だったのが良かったですね。担当も作者も将棋好きなんてことになると、きっとダメになっていたと思うんですよ。どんどん深いところに沈んでいっちゃうような気がします。
――えー……話があやしい方向に行ってしまいそうなので(笑)、次の質問にうつらせていただきます。『ハチワンダイバー』を読んで将棋に興味を持った人に、柴田先生がオススメする“次に読むべき作品”を教えてください。
柴田:『聖(さとし)の青春』と『将棋の子』ですね。ともに大崎善生先生のノンフィクション小説です。
特に『聖の青春』がね、村山聖っていう……もう長くは生きられないって宣告された実在の棋士が、どうしても名人になりたいって、それこそ死ぬ気で戦う話なんですよ。これが、もう痛々しくて……これを読まずして何を読むって感じですよ!!
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