普段、当ブログではタイトル戦の将棋の感想などは書いていなかったのだが、本日終局した王位戦第4局は、極めて珍しいというか、異常とも思えるような一局だったので、その点についてはどうしてもメモしておきたい。
- 65手目に4九歩と底歩を打ったのを最後にして、以後、王位が歩を動かしたことは終局まで一度も無かった。
- 65手目に底歩を打って、王位の駒台から歩が消え、終局まで再び歩が乗ることはなかった。
- 挑戦者の着手で歩を打ったのは、全局を通して30手目の2四歩しかない。120手を超える将棋で歩を一度しか打たない将棋は極めて珍しい。
- 挑戦者の駒台の歩の数は、56手目の4五飛車と歩を払って6枚になったまま、終局まで一度も変わることはなかった。つまり、歩を打たなかったばかりでなく、取ることもなかった。
中盤以降こんなに歩が使われなかった将棋は空前絶後なのではないだろうか。盤上の40枚の駒のうち、歩の数は18枚あり、その構成比は45%である。通常の対局で、一番使われる機会が多い駒は歩のはずである。本局を盤面中継で見ているときに何か違和感を感じていたがあったのだが、こうして棋譜を調べてみると、「将棋は歩から」という言葉の真逆の将棋を見せられていたことがありありとわかり、違和感の正体がわかって、納得である。
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