作詞家の松本隆氏と羽海野チカ氏の対談がネット上で読める。『3月のライオン』の部分を抜粋する。
●松本
質問なんだけど、なんで将棋をテーマにしたんだろう?●羽海野
まず“戦っている人”を描きたかったんです。●松本
なるほど。●羽海野
それから、主人公は何かしら、自分とシンクロするところがあって欲しいと思ったんです。それで「職業として将棋をやっているけれど、自分の生活とうまく両立できない」という感じにしようと思って。将棋と漫画にどこか「近い」ものを感じたんです。●松本
17歳でプロ棋士って、天才だよね。●羽海野
今まで4人くらいしかいないみたいですね。将棋は興味があって、覚えたてだったので、なんて面白いんだろうと思っていて。●松本
あぁ、そうなんだ。やっぱり好きだったんだね。●羽海野
最初は編集者さんに興味があるって言ったら指し方を教えてもらえて。取った駒を自分のものにして使えるなんて、聞いたことが無いすごいゲームだ!!、と思いました。それで、「これをやっている人たちの頭の中ってどうなってるのかしら?」、というほうに興味が移って。頭の中に宇宙が入ってそうな、怖い人たちを描きたいなと思いました。
このブログではあまり書いたことがないが、筆者は、メディア業界の中に将棋ファンが多くいることは結構将棋の普及にとって重要なことだと思っている。上記を読む限りでは、羽海野氏は、こどもの頃から将棋を指していたというわけではなくて、大人になってから、仕事上でつきあいのある方が、話が出たときにすぐに教えてくれた、という事情が語られている。つまり、担当の編集者が将棋を知らなかったら、もしかすると、『3月のライオン』の連載は生まれなかったかもしれない、ということだ。彼がたまたま将棋を人に教えられるほどに知っていたのは将棋界にとって僥倖だったのではないだろうか。
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