昨日、第2回リコー杯女流王座戦第一次予選で、ポーランドから招待されたカロリーナ・ステチェンスカ氏が高群女流三段を破り、昨年の第1回の中国人少女があるので外国人女性アマとしては公式戦で対女流プロ2戦目にして初めて勝利を上げたことになる。歴史的な快挙である。外国人女性アマ対女流棋士の通算第3戦目は、千葉女流四段が勝利した。主催者、マスコミ報道へのリンクをするとともに、実は昨晩から今日にかけて、筆者は直接確認できていないのだが、一時 Twiter のトレンドワードに「ポーランド女性」とあとひとつの昨日の将棋からみのキーワードが上位にあがるなど(状況証拠1、状況証拠2)、ネット上でこの初勝利のニュースに触れる人がかなり多かった印象なのでその理由について考察したい。
まず、日本将棋連盟と、リコー杯女流王座戦中継ブログから、ステチェンスカ氏の勝利について。日本将棋連盟は土曜日にもかかわらずお知らせを更新していた。
続いてリコー杯女流王座戦中継ブログ。ステチェンスカ氏の写真が多くカラーで掲載されている。
次に新聞社の報道。見出しの内容に注目いただきたい。
上記のうち、昨日のうちにネットに出たのは、上から順に朝日まで(それぞれの記事日付などで確認)。写真があるのは読売と朝日だけで、それぞれ一枚ずつである。これらのニュースだけでは、確かに歴史的快挙は快挙なのだが、ネット上で祭りに近い状態になることはなかった。ただ、この見出しにひかれて、2ちゃんねるに次々と書き込みがなされ、次々にまとめサイトにリコー杯中継ブログの写真や、新聞報道にない情報が追加されて多くの人の驚きを増幅する結果となり、祭りに近い状態となったようだ。おもなまとめサイトにリンクする。その見出しを上記の新聞とよく比べてみてほしい。
新聞の見出しと何が違うかお分かりだろうか。そう、漫画の具体的な名前、年齢、将棋を覚えた年数などの情報が新聞の見出しにはなかったのである。その新聞見出しにかけていた部分が実は人々を驚かせた要素なのだ。つまり、新聞の見出しだけを Twitter で知った人は、「漫画で将棋を覚えたのか、どの将棋漫画だろう。月下?しおん?ライオン?」という疑問をもっていたところに、これらまとめサイトの見出しで NARUTO という意外な答えを知って驚き、20歳女性というまとめサイトの見出しの情報をもとに、一番上の痛いニュース(ノ∀`)で顕著だが、何枚も見られるカラー写真に瞠目することになり、次々と Retweet が起こるなどした結果が昨夜から今朝くらいまで続いた祭りの理由であると筆者は思っている。なお、漫画が NARUTO であることは新聞では朝日だけが触れているようだ。
そういう意味で、新聞だけでこのニュースを読んでいる人と、上にリンクしたようなまとめサイトを読んでいる人ではかなりこのニュースの印象が違うはず。NARUTO の件がまとめサイトに出たのは、日本将棋連盟がステチェンスカ氏のプロフィールのページを4月26日に公開して、そのページで詳しく紹介していたのが大きい。広報の大勝利といっていいと思う。
- 将棋を始めたきっかけ
- ポーランド語で訳された日本の漫画「NARUTO」を読みそのなかの登場人物が 先生に将棋で勝つシーンがあり興味を持った。その後、インターネットを使い将棋について調べた。(2008年1月)
また、招待された選手の国がポーランドというのも、人々の意外感を誘ったのもあるだろう。これが例えばアジアの隣国だと、いろいろな意味で2ちゃんねるの書き込みは荒れそうだが、ポーランドという普段は比較的書きこみがされない国なので、余計な茶々が入らず、素直にニュースがそのまま受け取られたのもよかったと思う。
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