この週末、2冊のサッカーに関わる新書を読んでいる。1冊はイビチャ・オシム氏の「考えよ!-なぜ日本人はリスクを冒さないのか?」。もう1冊は、村松尚登氏の「スペイン人はなぜ小さいのにサッカーが強いのか 日本がワールドカップで勝つためのヒント」である。
前者には、以下のようなくだりがある。
戦略に関しては、カメルーンがどういう戦略で出てくるかによって変わる。ある意味、チェスのように敵の最初の動きを見て対処、対応するのだ。サッカーはチェスと同じではないが、非常に似ている競技である。
後者には、”「将棋」は戦術理解を深める優良教材”というコラムが収められている。一部を抜粋する。
将棋にはさまざまな能力(役割)を持った駒があります。最終目的は相手の王(玉)を奪うこと。そのために持ち駒を有効に動かし、相手との駆け引きを制して敵陣に切り込む姿勢はまさにサッカーと似ています。将棋もサッカーもチーム戦術が機能しなければ相手を倒すことはできません。
サッカーは体を使ったスポーツですが、同時に頭脳戦でもあります。有機的にパスを回して相手の弱点を突き、さまざまなキャラクターを連動させてゴールを奪うためには、チームとしての戦術理解はもちろん、状況に応じた判断を無数にこなさなければなりません。両者のそういった共通点から、私は将棋を学ぶことはサッカーを学ぶことにもつながるのではないかと考えました。まるで「名人」と称される棋士のように常に相手の先を読むことができたら、それはきっとサッカーにおいても有効な手段となるでしょう。
将棋を指すことは、日本の育成現場で軽視されがちな「戦術」の理解を深める上でも非常に大きな効果を発揮します。「どうやって相手を倒すか」を繰り返し思考する試みこそがまさに戦術。「速読」と同様、脳を活性化するひとつの方法論として、試してみる価値は大いにあると思います。
この3月と4月にでたサッカーの新書に、期せずして同競技をチェスと将棋になぞらえる表現が出たのが面白い。特に村松氏は、筑波大学サッカー部OBであり、卒業後、スペインにわたって現地での指導経験を積み重ねて帰国、昨年の9月よりFCバルセロナスクール福岡校のコーチに就任をしているという同書の奥付の情報からすると、気鋭の指導者のように思われる。自著で将棋の効用について上記に抜粋したような仮説を発表されているので、当然のことながら、教え子に将棋を指させてみる検証作業に入られることが期待される。その成果がどのようになるか、大いに関心を持ちながら注目していきたいと思う。サッカーと将棋が両方好きだという方は、氏のブログはまめにチェックして損はないと思う。
村松氏は、日本はバルサを超えられる | スポーツナビ+というブログも書いている。その中で、”将棋”という単語が含まれているエントリーにリンクをしてみる。
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