FujiSankei Business i. 2008/6/25に、以下にリンクした記事が出ている。
FujiSankei Business i. 総合/礼儀、集中力、勇気…効用に注目 「子供将棋」モテモテ
日本の伝統的文化である将棋の特性が見直されている。礼儀、集中力、勇気…。その効用が子供の間で静かな広がりを見せている。
筆者は、引用部分の「礼儀、集中力、勇気…」の「…」の部分を突き詰めて考えていくことが将棋の普及にとって大事なことなのではないかと思う。なぜなら、礼儀、集中力、勇気という効用は、将棋だけのものではなく、日本の武道一般(柔道や剣道など)も訴求している効用と思われ、その三つでは、将棋との差別化が十分ではないと考えるからである。
武道一般では身につかず、将棋を習得することで身につくと思われることは、共通の目的(相手玉を詰める)を達成するために、能力の異なる者(駒のこと)が協業するとはどういうことかを、総大将の立場で、盤上の戦いを通して擬似的に体験し、理解するということではないかと思う。また、そのためには、それぞれの駒の特性、長所、短所を指し手である本人が深く理解することが必要条件となるのだが、これは、擬似的にチームリーダーとしての資質を開発していることになるのではないだろうか。
学校の部活動などで、サッカーや野球などの団体競技は盛んであるが、それらの部活動では、ほとんどの場合、普段の練習の指導や、試合にでるレギュラーの選抜、実際の試合の作戦決定、選手の起用などについて、部活動の指導者である学校教師が決定をし、選手である生徒はそれに従うだけというケースが多いのではないだろうか。ともすれば、選手は、ボールを遠くに打ち返すとか、ゴール隅に強いシュートを打てるようになる、とかの身体技術的な練習は多く行うが、勝つために、それぞれの能力や特長の違うチームメンバーがどのように協業すれば最大の力を発揮できるか、という点について、考察をしたり、トレーニングを受けたりということが行われているのかというとはなはだ心もとない、というのが現状なのではないだろうか。
サッカーの前日本代表監督のオシム氏は、ラミーというカードゲームがサッカーにも資するというのが持論と聞いている。もし、オシム氏が日本の将棋のルールを知ったら何というだろうか。日本には将棋という素晴らしいボードゲームがあるじゃないか、勝つための日本らしいサッカーには、将棋が必要だ、と選手やサッカー指導者に力説してくれるのではないかという妄想を筆者は禁じえないのである。
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