「週刊ベースボール」3月12日号にヤンキースの松井選手と井川投手が対談しているのが掲載されている。そこより一部を抜粋(発言内容の太字は筆者による)。
松井 あと、こっちは移動時間が長いから、飛行機の中も有意義に過ごしたほうがいいと思う。僕は本を読むか、一時は、トランプをすることが多かった(笑)。
井川 ポーカーとかですか。
松井 "大貧民"だね。
井川 それなら自分もできますね(笑)。将棋大使として、将棋も広めないといけないんですけど。
松井 "飛車角落ち"なら勝てるかもしれない(笑)。将棋はたくさん定石があるわけでしょう? それが頭に入っていないとダメだよね。
井川 自分は、移動の新幹線でも"詰将棋"の本を読むことが多かったです。あと最近はダーツがストレス解消法ですね。
将棋親善大使は、松井選手との対談の中でも、将棋を広めなければいけないことを明言している。ありがたいことだ。
「ナンバー」673号の特別インタビューで井川投手はナンバー1へのこだわりを語っている。少し引用する。
自分がここまで野球をやっている理由は、それが仕事だからということもありますけど、なにより一番になりたかったから。その思いは、小さな頃から変わりません。せっかく生まれてきたんだから、なにかで一番を目指してみたかった。その手段が、自分の場合はたまたま野球だったということです。
プロ野球界には、自分より秀でた能力の選手がたくさんいます。その選手達と同じように与えられた練習だけをこなしていては、一番にはなれないと思っていました。他の選手が全体練習から帰ってきて休んでいても、自分はかなり遅くまでウェートしたり、もっと上にいくにはどうすればいいかを自分自身で考えて毎日を過ごしてきました。2,3ヵ月単位で、ほんの少しずつ成長を感じて、もっと上に、もっと上にという気持ちで、いつのまにかここまでやってきたという感じです。
夢は、メジャーリーグで活躍すること。そして、ワールドシリーズで戦力として投げて、世界で一番になることです。
引用したのは一部だが、そこだけに限らず、とにかく何度も「一番」という単語が飛び出すインタビューで、井川投手のナンバー1への執着が並々ならないものがあるのは明らかだ。
このインタビューで直接の言及はないが、井川投手は、単なる気晴らし、趣味として将棋をやっているのではないように想像する。むしろ投手として、「もっと上にいくにはどうすればいいかを自分自身で考えて毎日を過ごし」た結果として、将棋を指したり、移動時間に詰将棋を解くのがいいという結論になっているのではないかと考えるのは飛躍であろうか。いや、もしかすると、ヤンキースが優勝するためには、チーム全体の集中力向上のため、阪神球団のように、チーム内に何人か将棋の好きな選手がいることが必要だとさえ考えているのかもしれない。だからこそ、キャンプ早々から、将棋をチームメートに披露しているのではないだろうか。筆者には、彼がナンバーワンになるためにどうしたらよいかを突き詰めた結果、将棋親善大使を引き受けたのでは、という気がしてならないのである。
ところで、昨日のエントリーで日刊スポーツの「井川が指南、ヤ軍に将棋ブーム!?」というネット記事へのリンクをしたが、本紙のほうにはネット版にはなかった日本将棋連盟広報のコメントも載っている。
えっ、ジアンビ選手までが、本当ですか!井川選手に楽しんでもらえるだけで十分だと思っていたのですが、まわりの選手にまでお伝えしていただけるとは…。
井川投手にあやかるわけではないが、将棋が世界一のゲームとしてどうしたら世の中に伝わるのかを毎日考えるのが広報の務めだと筆者は思っている。もう少し考えたコメントを出せなかったのかと残念に思った(それにしても広報という役割はいつできたのだろうか。直近の将棋年鑑の「日本将棋連盟の機構」のページには見当たらない)。
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