将棋の海外伝播などについてのブログ

Rikaichan

　本日の shogi-l で、封じ手とは何ぞやという質問に答えているやりとりのメッセージに付随して、竜王戦ブログを海外の方が読むときに便利なツールについての情報交換があった。Daniel の投稿　Fabien の投稿　（ともに英語）

　そのツールは、Rikaichan （英語）という、Fireｆox 用のアドオンツール。これを備えていると、和英、和独、和仏、和露のポップアップ型の辞書を手にしたことになり、日本語のコンテンツを読むのに、ネット上にある機械翻訳よりもよいという。

　筆者も早速 Fireｆox にアドオンして少し使ってみたが、「飛」「桂」などの一字の漢字を Rikaichan でハイライトすると、rook, knight などの将棋の駒の訳語が出てくるのには驚いた。飛車、桂馬などの二字の単語ならばわからなくもないのだが、、、。いったい誰がこの Rikaichan に将棋の単語を入れたのだろう。無料ソフトおそるべしである。今後、このアドオンを使って日本語の将棋コンテンツの読解に挑戦する熱心なファンが増えることが容易に予想される。

(2006/12/1追記）時系列に、rikaichan を紹介している日本語のブログエントリーをまとめてみる。

A-note 理解ちゃん firefox extension (2005/12/09)

"海外のアニヲタ系Blogを回ってたら見つけた
日本語を英語にポップアップ翻訳するFirefox Extension。"

Piccolaの勉強: Mouse Over じしょ (2006/5/22)

"私もFirefoxを用いる。Rikaichanのじしょはとてもゆうようです。"

Takecopter: Firefox (2006/6/17)

"rikaichan （マウスカーソルを日本語に合わすだけでを瞬間的に英語を表示してくれる。ｇTranslateの１００倍早い） "

「日本語教育って ……！」: 学習者が選んだ… (2006/6/25)

"「rikaichan」を使っているという声あり。
ただし、これ、Firefox仕様であるため、
だれにでもすぐにというわけにはいきませんね。
ただ、ウェブサイトだけでなく、同じくMozila系のメーラー
（Thnderbird）でメールにもルビふりができるらしいので、
もっと注目してもよいかもしれません。"

うなぎとお金: Firefox のrikaichan add-on (2006/9/18)

"rikaichan　は　Firefox　Browser の　Add-onです。とても便利なオンライン辞書です。ブログの漢字が読めなくなければ、rikaichanが使って、漢字の意味がわかるようになります。"

　などなど。

　本日現在、"Rikaichan" は、英語版の Wikipedia にまだ載っていない。だが、Rikaichan に関する英語のブログのエントリー数は、ざっくりの検索体感で日本語の数倍以上ある。おそらく、Firefox を使えるリテラシーを持った海外の日本語学習者（日本語学校に通っている人だけでなく、コアなアニメファンなども含む）の間でじわじわと利用が広がっている段階であろう（ちなみに筆者の英語のブログのアクセスは半数ほどが Firefox 経由である。日本語で書いている当ブログへのアクセスがほとんど IE 経由なのと比べると非常に興味深い）。"Rikaichan" が英語版の Wikipedia に載った暁には一気にブームとなるであろう。その時期は早ければ今年中、遅くとも来年中と筆者は考えている。

英辞郎で「レターまたはEメールの文例」を検索

　今朝発見したこと。英辞郎に「レターまたはEメールの文例」がいつからか知らないが載っている。検索窓に "LE2" といれて検索をかけると、246件の「レターまたはEメールの文例」が結果として返されてくる。英文レターやEメールを書かなければいけない個別のさまざまな状況に LE2 で始まる番号を付し、用例を引くことができるようになっている。このままだと、少し使いにくい面はあるが、非常に便利は便利である。

英辞郎の検索窓に "LE2" といれてみた結果 (246件,今現在)

英辞郎の検索窓に"LE20" といれてみた結果(110件、今現在）

英辞郎の検索窓に"LE23" といれてみた結果（136件、今現在）

　合計で246の状況の文例が載っている。"LE20" で始まるのが日常のレター、"LE23"で始まるのがビジネスシーンの文例になっているのかと思ったら、よくみると両方ともビジネスシーンが多いようだ。

12/16にスロバキア対コロンビアの団体戦がSC24で

　12/16 に将棋倶楽部２４でスロバキアとコロンビアの間で将棋の団体戦が企画されている。

Colombia VS Slovakia 16/12/2006 （英語）

　双方の国で将棋を広めようとしている現地の方とは、直接会ったことはないが、ネットではずいぶん対戦もしているし、チャットもしている。そういう方同士がそれぞれの国で将棋ファンを増やし、こうして団体戦を企画してくれるのは感慨深いものがある。

ASIA HOUSE のイベントだけでなく、学校回りもする瀬川四段ら一行

　当欄では既に、瀬川四段と女流棋士三名が、11/29にロンドンのアジアハウスで将棋の紹介イベントを行うことをお伝えしていたが、昨日付けの瀬川晶司のシャララ日記で瀬川四段がロンドン行について触れている。それによれば

向こうの学校をいくつか回ったり、将棋イベントに出演したりしてきます。対象は将棋を知らない方が中心になりそう

　とのこと。学校をいくつか回るというのが新しい情報。「いくつか」とあるので、日本人学校だけということはなく、英国人の学校も含まれているものと思われる。また、「対象は将棋を知らない方が中心となりそう」というのもいままでのプロ棋士の海外派遣にはあまりなかったこと。

　当たり前の話であるが、将棋人口を増やすには、今まで将棋を知らなかった人に新たに将棋を知ってもらうことが絶対に必要である（もちろん、既に将棋ファンになっている人を維持していく、ということも必要。ファンの新規獲得と、既存ファンの維持は、いわば、車の両輪である）。いままでの棋士の海外派遣は、主に既存ファンの維持が主目的と考えられる内容のものが多かったように思われるので、今回の訪英の効果には大いに期待したい。道中のご無事をお祈りいたします。

KIF２SWFによる動く盤面の投稿

　ブログに投稿できて、ネット上で動かせる将棋の盤面のソフトがないかと思って今年の春ごろに調べていて、以下のエントリーを見つけていた。

無料ブログやＨＰで棋譜を公開する方法（将棋好きな主婦のblog）

将棋の棋譜ファイルをswfファイルに変換するコンバータ(右玉十八番！）

　本日、漸く、上記で教えてもらった KIF2SWF という「将棋の棋譜ファイルをswfファイルに変換するコンバータ」で作成したファイルを自分のブログに載せるのに成功した。もっと早くできるようになるつもりであったが、ファイルを持ってこれるディレクトリのアドレスを把握する方法がなかなかわからずにいて HTML で表示するファイルを指定できず、延び延びになってしまっていたが、なんとかできるようになった。

　上記の盤面で再現できるのは、中飛車で初手から１１手で詰んでしまう冗談のような定跡（？）手順。海外の将棋ファンがこの盤面で問題なく手順を再現できるのであれば、ブログで伝えられる将棋の技術情報の量をかなり増やすことができる。現在はフィードバック待ちの状態である。

11/29 のロンドンの将棋イベントが楽しみだというブログエントリー

　11/4 に「瀬川四段と女流棋士三名が11/29にロンドンで将棋のワークショップを持つという情報」を当欄でお知らせしたが、このイベントに参加するという英国の方のnoearthlycity というブログのエントリーを見つけた。

Game of Generals (英語）

Next week I'm off to London to a shogi event at Asia House featuring 4 top Japanese players. （来週、Asia House で行われる4人のトップの日本の棋士が呼び物の 将棋のイベントに出るため、ロンドンに出かける。）

　この方は、英国のケンブリッジで、Shogi Evening という将棋を指すための集まりを何度も開いている方のようだ。プロフィールを見ると27歳男性とのこと。イベントに参加した後、その感想もブログに書いてくれることを期待したい。

日本における NARUTO 効果の実例

　当欄で何度もご紹介しているが、NARUTO が海外で shogi というゲームの存在が認知されるのに大きな役割を果たしているのは、ご案内のとおり。では、膝元の日本ではどうか。海外で起こっているのとほとんど同じ効果を NARUTO がもたらしたことを示すブログのエントリーを見つけた。

my boom (敏腕?営業マンの独り言)

我が家はNARUTO好きなので、その中のキャラクターの一人である、シカマルがよくアスマと将棋をしているので、シカマル好きの俺としては、将棋をお利口とと思い購入にいたった。

　日本と海外との違いは、日本では、将棋の盤駒を買えるところは沢山あり興味を持てば上記のようにすぐ購入に至れるが、海外では、盤駒を売っているところを見つけるのが簡単ではなく、なかなか盤駒の購入にまでつながらないことではないかと思う。そうだとすれば、もったいないことだ。

オーストラリアの子ども向けネット百科事典に shogi の項目

　あまり知られていないが、今年2006年は日豪交流年である。それにちなんで、というわけでもないが、オーストラリア絡みの将棋の情報をひとつご紹介したい。

　オーストラリアに Kids.Net.Au （英語）という、子どもとその親、学校の先生向けのポータルサイトがあり、その中に検索エンジンや、ネット百科事典がある。普通のネット百科事典と異なるところは、子どもにとって、有益もしくは無害なネット上のリソースだけが検索結果として表示され、また、そのような項目だけが百科事典の項目として所収されること。

　そういう子どもにとって「安全」な百科事典に shogi の項目（英語）があった。見ると、ゲームの目的、駒の名称（漢字と読み方も含む）と動かし方、投了、千日手、入玉規定についての記述も見える。

　この Kids.Net.Au は、おそらく、オーストラリアの学校の授業などで使われることが多いのではないかと思われる。そのような場で、shogi の項目が参照されることがあるとすれば、嬉しいことである。

情報通信審議会 映像国際放送に関する検討委員会第５回会合

　11/17 に第５回の会合が行われた。こちらが議事次第のページ。

　これまでの議論のとりまとめ（案）(pdf、 9頁)という文書が公開されている。その中から、筆者が重要と思うところを抜き書きする。

（２　映像による対外発信の現状と問題点　より）

NHK自身として、当面、以下のような対応策を検討しているところである。

（ア）ワールドTV、ワールドプレミアム両チャンネル特性の明確化、すなわち前者は主に外国人向けとし、英語化率100％を目指す

（ウ）インターネット発信の強化、すなわち更新頻度の増加、発信ソフトを充実していく。

（３　映像国際放送強化の狙い・目的　より）

具体的な放送理念として

②等身大の生活、文化・歴史・言語・科学技術・産業等の発信

を柱として据える。

（４　映像国際放送強化の具体的方向性）

　工業デザイン、ファッション、アニメ、漫画を含めた現代日本文化が欧米文化の模倣を突き抜け、オリジナリティをもって欧米で評価されてきている現状を踏まえ、それらを積極的に発信する視点を持つべきである。

　当面、英語を使用する。なお、日本語放送に英語字幕を付する等、日本語習得に意欲を持つ外国人に対する視点も同様に持つべきである。

　インターネットは、情報流通の領域拡大ということ点で目まぐるしく発達しており、能動的にコンテンツを入手しようとする人々によるアクセス促進という観点からはもっとも効果的であることから、積極的に活用すべきである。また、番組内容、視聴者層に応じて、放送、インターネットいずれを重視するかを適切に判断することも必要である。

　過去5回の委員会の議事要旨、記事次第を見たい方は、一覧できるページができているので参照されたい。

「将棋の日」を祝う英語のブログエントリーを発見

　昨日（11月17日）は「将棋の日」であった。将棋の日を祝っているのは、日本の将棋ファンだけとは限らない。以下の英語のブログエントリーがあった。

Dizzys Adventures Online: HAPPY SHOGI DAY!!!

　エントリーのコメント欄で、

An announcement came today of a new professional online tournament, breaking drastically from tradition. I think it's a bold step in globalization of the game.（新たなプロ棋士によるオンライントーナメントのニュースが今日やってきた。将棋のグローバリゼーションにおいて、勇気ある一歩だと思う）

　という言及がある。海外の将棋ファンが主に購読している shogi-l というメーリングリストに筆者は昨日の大和証券杯創設の知らせを英語にして流したが、その反応であるとすればうれしいことだ。

　このエントリーをされたのは SHUMBY さんという方。この名前には見覚えがある。そう、6/10 のエントリー「摩訶大々将棋、大々将棋、泰将棋の映像　at YouTube」でご紹介した、YouTubeにそれらの大きな将棋類の映像を投稿した方と多分同一人物である。

　蛇足。大和証券は、新棋戦創設後も名人戦のスポンサーを継続するのであろうか。そういう肝心なところがわからないので、どうにも昨日のニュースは消化不良である。