やや遅ればせながら、週刊将棋7月18日号を読んだ。あれれ、と思ったのは10面のコラム「クローズ・アップ」で取り上げられた本間六段のプロフィールの紹介。引用してみる。
【ほんま・ひろし】1958年7月13日生まれ。大阪府池田市出身。森安秀光九段門。85年四段。93年五段。2003年現役引退。06年六段。
と、ここまでは、名前の読み、生年月日、出身地、棋士系統、昇段の記録など定番の情報である。そしてこう続く。
03年6月から06年3月まで将棋連盟関西研修会幹事。95年10月、文化庁「伝統文化活動国際化事業」の派遣棋士としてフランス・ドイツ・ベルギーにある支部を巡回訪問。98年渡米しアメリカ人将棋ファンと交流。99年5月国際交流基金の日本文化紹介事業の派遣棋士として北京と上海で中国人少年宮所属者に将棋講座を開講。
今まで、同紙の棋士のプロフィール紹介部分を真剣に読んだことはほとんどなかったが、上記には唸った。トーナメントプロとしてだけではなく、普及のキャリアにも触れているのは今までにもあったことだろうか。これを見ると、本間六段が、様々な国へ普及へ出かけていたことがわかって興味深い。98年の渡米は公務ではなくプライベート訪問なのだろうか。
この号には、羽生三冠のプロフィールも載っている。最近の号では、6月20日号にも載っている。これの違いがまた面白かった。まず、6月20日号10面のコラム「クローズアップ」のプロフィールを引用。
【はぶ・よしはる】1970年9月27日生まれ。埼玉県所沢市出身。二上達也九段門下。85年四段、94年九段。タイトル獲得66期(歴代2位)。現在王位・王座・王将の三冠。96年に七冠達成。朝日オープン将棋選手権では、前身の全日本プロ将棋トーナメントを含め25回中7回優勝。
続いて、7月18号の11面の特別企画のプロフィール欄。
【はぶ・よしはる】1970年9月27日生まれ。埼玉県所沢市出身。二上達也九段門下。
とここまでは同じ。ここからが結構6月18日号と異なる。
加藤一二三九段、谷川浩司九段に続き史上3人目の中学生プロ棋士。96年2月に七冠王達成。タイトル獲得66期(大山康晴十五世名人の80に次ぐ史上第2位)。棋戦優勝32回。現在王位・王座・王将の三冠。趣味は水泳とチェス。チェスは FIDE Master の称号を持つ強豪。
なかなか、記事の内容と、プロフィール欄が連動して変化しており、編集者の苦労が見える。
そのほか、20面に「大和証券杯のアクセス数」「北京市少年交流訪日団関西将棋会館を来訪」「東大将棋部がアジアの学生による国際将棋交流を企画」などのデータ記事、ベタ記事があり、21面のコラム「ロスタイム」で本間六段が「欧州普及に全力を尽くす」と書いているなど、将棋の海外普及に関心がある人にとっては必読の号となっている。
最後に比較のため、日本将棋連盟の本日現在の本間六段と、羽生三冠の棋士紹介欄へのリンクを張っておく。
普及の業績もプロフィール欄にあるべきではないだろうか。トッププロの羽生三冠にしてもNHK番組の「ようこそ先輩」「プロフェッショナル 仕事の流儀」などに出演実績があるし、著書「決断力」が将棋を普段指さないさまざまな層で読まれていることなども触れられていてもいいのではないだろうか、と思った。
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