将棋の海外伝播などについてのブログ

将棋は手筋の適用機会が多いゲームなのだろうか

　Boardgamegeek の Forum（英語）で、面白い記事を読んだ。一部を引用する。

Shogi for chess players

You can play hundreds of games of chess without seeing the kind of brilliant tactics that are there in the problem books. When was the last time you saw a queen sacrifice in a chess game you played? Or a game that ended in a flurry of sacrifices by both players as both players rushed to mate each other before they were mated? But this kind of thing is routine in shogi (with the caveat that there are no queen sacrifices per se because there is no queen; however, major piece sacrifices as part of a mating attack are not at all unusual).（プロブレムの本に出てくるような種類の素晴らしい手筋を見ることなく、何百局のチェスのゲームを対局することができる。自分の指したチェスでクイーンのサクリファイスを見たのはいつのことだったか思い出せるだろうか。また、互いのプレーヤーが終盤激しく一手争いをして、互いにサクリファイスを繰り返して終わったのはいつだっただろうか。しかし、このようなことは、将棋ではよくあることなのである（注意：将棋にはクイーンという駒は無いので、将棋にはクイーンのサクリファイスは無い。だが、詰み筋の一部としての大駒のサクリファイスは非日常的なものでは全くない。）

　筆者はチェスをそれほどやっているわけではないので、チェスが上記で言われているようなゲームであるかどうかは判断がつかないが、将棋で大駒を切ったり捨てたりするのが日常茶飯事であるという点には異論がない。手筋を覚えて、自分の対局にそれをうまく応用して使えたときの喜びというのは、体験したものなら誰しも感じたことのあるものだと思う。将棋はチェスよりもそういう喜びを感じられる機会が一局当りにして多いゲームということになるのだろうか。そうだとすれば、それは、海外の人に訴えていくべき将棋の大きな魅力のひとつということになるだろう。

フジテレビ「ハチワンダイバー」のオフィシャルサイト

　４月１８日からオープンしていたようだ。今のところは、フォトギャラリーも含めは、主演二人の写真だけ。菅田役の写真を見ると、左手で駒を持っているので、サウスポーの設定にするのかもしれない。

ハチワンダイバー - フジテレビ

最近読んだ本

　以下の本が面白かった。

グーグルが日本を破壊する | 書籍 | PHP研究所

タイトルは羊頭狗肉的だが、中身は真っ当で、広告費という切り口を中心にして、既存マスコミ媒体（主に新聞とテレビ）の分析と今後の変化についての著者の予測が載っている。将棋界関係者にとっても様々な示唆が得られる著書と思う。

 

「将棋は日本が世界に誇る文化」 - ニンテンドーDS用ソフト「しおんの王」開発者インタビュー

　毎日jp のまんたんウェブに、以下の記事が２０日付で出ている。

開発陣に質問状：「しおんの王」　将棋は日本が世界に誇る文化(まんたんウェブ) - 毎日ｊｐ(毎日新聞)

毎日コミュニケーションズの小川明久プロデューサーへのインタビュー。「将棋は、日本が世界に誇れる素晴らしい文化であり、素晴らしいゲームです。」という発言がある。「世界に誇れる」という認識があるのが心強い。今後、その誇らしい部分を世界の人々が体験、理解しやすい形にして、同社から将棋ソフトがリリースされていくことを期待したい。

 

asahi.com に再び将棋マンガの記事

　4/17 付けで、asahi.com に将棋マンガの記事が載っている。

asahi.com：将棋マンガ隆盛　頭脳と心の闘いで魅了 - 文化一般 - 文化・芸能

　『３月のライオン』『ハチワンダイバー』『しおんの王』について軽く紹介している。渡辺竜王のコメントも。

 

『こち亀』で中将棋などが取り上げられた

　筆者はまだ読んでいないのだが、こち亀データベースによると、週刊少年ジャンプの第１９号と２０号で、中将棋などが取り上げられたようだ。

19号「中将棋の巻」20号「将棋革命の巻」

 

台湾の将棋情報 - 所司七段と現地の方のブログから

　台湾の将棋の情報が複数のブログに日本語で最近書かれているのでまとめて紹介したい。

明日から台湾に行ってきます — 不定期日記, April 10, 2008（所司七段ブログ）

なお台北では大学生で将棋が盛んになってきていまして、大学に将棋部が出来たということでこちらにも交流に行けますと良いなと思っております。

台湾到着２日目は台北支部の皆さんと交流 — 不定期日記, April 12, 2008（所司七段ブログ）

学生さんは試験最中であまり集まれないと聞いておりましたが、まずまずの人数が集まりました。
感じとしては毎年増えているようです。
また傾向は、４年前は大多数が日本の方でしたが、今年はもう圧倒的に台湾の方が中心になっています。

台湾での将棋活動 - 大日本帝国軍本陣 - 楽天ブログ（Blog）

　台湾の台北市で日本将棋連盟台北支部という組織があります。（支部の会員数は大体15人くらい居ます）ちなみに、台湾のネット世界で日本将棋台湾棋友会と いうグループがあります。（会員数は154人います）今、この二つ団体は互いに協力して将棋を広めています。台北支部の支部長、黒崎さんも台湾棋友会に参 加しています。

　日本将棋連盟の海外支部と、現地のネット将棋ファンが協力するというのはいい形だと思う。

時事ドットコムに「パリっ子、将棋に興味津々」という記事

　時事ドットコムに「パリっ子、将棋に興味津々」という記事と写真がが出ている。１３日付。

Tagua 1.0 Alpha2 がリリース

　Tagua は、KDE 用の汎用的なボードゲームのスイートで、チェス、将棋、シャンチーやそのバリアントが含まれる。その 1.0 Aopha2 が１３日にリリースされた。今回のリリースでは、チェコ語とフランス語がサポートされたほか、禽将棋などが加えられるなどの変更が行われたようだ。

Tagua の将棋のスクリーンショット

Tagua の禽将棋のスクリーンショット

Tagua Project のトップページ（英語）

Tagua (previously known as KBoard) is a generic board game suite for KDE, including games like Chess, Shogi, Xiangqi and variants. Tagua is based on a powerful plugin system that allows many games to share the same graphical framework, game history handling, interoperability with AI engines and connectivity to network servers.

　筆者が面白いと思ったのは、Game Rules のページ。このページには、Chess, Crazyhouse, Minichess 5x5, Shogi, Minishogi, Tori Shogi, Sho Shogi のルールへのリンクがあるが、これがすべて Wikipedia 英語版への各項目へのリンクになっている点である。すなわち、Tagua Project というのは、英語版の Wikipedia にこれらのゲームのルールが載らなければ成立し得なかったプロジェクトということになりそうである。英語版の Wikipedia の文化伝播力を如実に示す例といえるのではないだろうか。

ある高校の海外の姉妹校交流で将棋のプレゼンテーション

　米国インディアナ州の地元紙と思われる Post-Tribune のネット版に、日本の高校生が姉妹校交流として現地の高校を訪れ、そのときのプレゼンテーションのひとつに将棋が含まれていたことが4/11付けで記事になっている（太字による強調は筆者による）。

　

Crown Point High welcomes teens from sister school in Japan :: Neighbors :: Post-Tribune

The 10-day trip included many activities for the young people. Presentations to Crown Point students included topics such as shogi (Japanese chess), origami (Japanese paper folding) and dressing in a kimono.　

　クラウンポイント高校を訪れたのは、神奈川県の有馬高校の生徒。同校のホームページを見ると、外国語コースというのがあり、そのページに以下のような記述がある。

外国語コースの授業・行事

Ｑ４：海外の高校との姉妹校交流はあるのでしょうか。
　１９９７(平成９)年度よりアメリカ合衆国インディアナ州クラウンポイント高校と姉妹校交流を始めました。隔年に両校の生徒が互いの高校を訪問し、ホームステイをしながら、短期留学を行っています。現地での体験や交流を通じて英語の世界を広げ、新しい友人を作ることもできます。

　Post-Tribune の記事を読むと、プレゼンテーションされたのは、将棋、折り紙、着物の着付けのようである。この３つで、将棋が有利な点が一つある。それは、折り紙や、着物の着付けは、その場限りの交流で終わってしまう可能性が高いが、将棋なら、帰国後も、ネット対局サイトを通じて姉妹校交流のときに知り合った友人と対局しながら交流を継続できる点である。これは教育的な観点からしても大きな利点ではないだろうか。

　今回、将棋がプレゼンテーションに含まれた理由は、おそらくは、クラウンポイント校を訪問した生徒に将棋を好きな子が居たからだと思われる。そういう意味では、日本の子どもへの将棋の普及が海外普及にとっても大切ということになる。また、教育関係者に、ネット対局を通じて海外の同じくらいの年齢の子どもと継続的な国際交流が気軽な形で可能な時代になっていることがもっと知られるようになるための手立てが将棋界としては必要なのではないだろうか。海外の同世代とネットで将棋を楽しみながらともに成長していく子どもや若者が増えていくのは将棋界にとって、そして多分日本の将来にとっても、プラスになることだと筆者は思う。